不登校問題真実

 

調査資料が明らかにする不登校問題の真実

        不登校を生み出しているのは学校教育だ

 

不登校の子どもたちの声を無視した

文科省・有識者会議「不登校に関する調査研究協力者会議」

 

子どもたちが見向きもしない

子どもを見捨て、切り捨てる文科省の不登校対策

 

不登校でも 歩みを止めず前へ進む子どもたち

        子どもたちを応援する教育運動を始めよう

 

 

第1版 2023年 3月

第2版 2023年11月

子ども応援センターtomorrow  

野中 博善

 

・・・目  次・・・

本レポートで使用している資料について               

レポート「不登校問題の真実」第2版に寄せて            

はじめに (本レポートの問題意識)                

第1章 なぜ、子どもたちは学校に行けなくなるのか         

1.資料で見る不登校の理由やきっかけ

 2.子どもと先生では、不登校への認識がちがっている         

3.学校に行けない子どもたちの思い

4.まとめとして                                             

   第1章で使った資料                        

第2章 活かされなかった子どもたちの声                              

1.活かされなかった子どもたちの声

2.文科省・「協力者会議」は乖離にどう向き合ったか

3.子どもたちが訴える不登校問題の真実

第3章 不登校対策を問う                      

1.文科省が行ってきた不登校対策

2.不登校対策への子どもたちの反応

3.不登校対策に対する子どもたちの評価

第4章 不登校問題解決への道すじ                  

1.調査資料から分かる子どもたちの思い

2.自らの道を切り開く子どもたち

3.【提言】不登校問題を解決ために                  

 

【本レポートで使用している調査資料について】

A.問題行動等調査(2022年文科省)

「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」

毎年、文科省が国公私立の全小中学校を対象に実施している調査です。

B.実態調査

「不登校に関する実態調査」(2020年文科省)

2020年の「不登校に関する調査研究協力者会議」の資料とするため実施された調査です。

C.財団調査(2018年公益財団法人日本財団)

「不登校傾向にある子どもたちの実態調査」

  日本財団が実施した民間団体による不登校に関する実態調査です。

D.追跡調査(2011年文科省)

「平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書」

この調査は、文科省が2011年に調査研究会を設けて、2011年から12年にかけて実施した調査です。なお、同様の調査を2001年にも行っています。

本レポートでは、これらの調査資料から、それぞれのテーマに合わせて、必要な資料を整理、作成しました。

 

 

レポート「不登校問題の真実」第2版によせて

2023年10月17日、滋賀県首長会議で、小椋東近江市長が「大半の善良な市民は嫌

がる子を無理してでも義務教育を受けさせようとしている。フリースクールの存在を慎重に考えないと、公立学校の存在を否定することにつながる。」と発言した。その後、マスコミに対して、発言は「不登校になる大半の責任は親にある」「フリースクールは国家の根幹を崩しかねない」という課題提起をしたものだと説明した。

 フリースクール関係者や不登校の子どもの親などから批判が上がり、物議を醸した。その後、両者の話し合いが行われ、不登校やフリースクールについて考える機会になった解いて、騒動の幕は下りた。小椋市長は、不適切な発言だったと謝罪はしたが、発言は課題提起だとして、発言の撤回はしなかった。

 この発言に対して、文科大臣は「望ましい発言ではない」と言い、文科省の立場や不登校対策について説明した。私には、とても奇異な発言に思えた。なぜなら、不登校の原因は子どもや親にあると言い続けてきたのは文科省(問題行動等調査)である。フリースクール支援を除外した「教育機会確保法」の下で、何の条件整備もせずに「学校外で学べばいい」という不登校対策を進めているのも文科省である。(「フリースクールは不登校を助長する」と言ってフリースクール支援を除外したのは自民党保守派である。)

 小椋市長の発言は文科省や自民党保守勢力の認識、姿勢そのものである。問われなければならないのは、文科省や自民党である。

子どもたちは「先生との関係」「いじめ」「勉強が分からない」から不登校になったと言

っている(実態調査)。文科省の認識とは乖離している。

学校以外の教育支援センターやフリースクールを利用しているのは30万人の不登校の子ども内、4万人ほどである。ほとんどの子どもは、相談・支援などの施策も利用していない。不登校対策とは無縁である。

それでも、子どもは自分の進路を切り開いている。不登校の本質を見誤った的外れの不登校対策を続けた結果、不登校の子どもは30万人に増えた。学校に行けない子どもに学校以外で学んでもよいというのは、無防備な子どもを荒海に放り出すようなものだ。不登校問題の本質を明らかにし、このような不登校対策を根底から改めさせなければならない。

 

2023年11月19日

                                 野中 博善

 

 

はじめに 本レポートの問題意識)

 

 学校へ行けない、行かない子どもが24万人を超えました。

 不登校が社会問題化してから数十年、文科省はスクールカウンセラーの配置、適応指導教室の設置など様々な対策を講じてきました。しかし、それらの対策は、不登校の子どもらを減らしたり、なくしたりするためには有効ではなかったようです。その結果、今日では、小学生の77人に1人、中学生の20人に1人が不登校という状態になっています。

 そうした中、2016年12月、「義務教育段階における普通教育に相当する教育機会の確保に関する法律(教育機会確保法)が成立しました。そして、2019年10月、文科省は、「不登校児童生徒への支援の在り方」という通知を出しました。それらは、「不登校の子どもたちは、学校以外の場で学んでも良い」とする不登校施策の大転換でした。。

すでに、「教育機会確保法」から六年、「通知」から三年が経ちました。。その間にも、不登校の子どもは増え続けています。しかし、学校以外の場で子どもたちが学び、過ごせる場所はほとんど増えていません。。環境の整備は掛け声だけで、遅々として進んでいないのです。子どもたちには行き場がありません。

文科省は、不登校対策として多くの施策を実施していますが、誰にも相談せず、何の支援も受けていない子どもがたくさん存在します。それらの施策を、不登校の子どもたちは望んでいるのでしょうか。それらは、本当に子どもたちの為になっているのでしょうか。

 なぜ、子どもたちは学校に行けなくなるのか。子どもたちは何を望んでいるのか。どうすれば不登校をなくせるのか。不登校の当事者の子どもたちの声を聞いてみてはどうでしょう。

 幸い、不登校の子どもたちを対象にした調査が、文科省や民間団体によって行われています。このレポートでは、それらの調査を基に、子どもたちがなぜ不登校になるのか、不登校問題の本質とは何か、不登校をなくし、不登校問題を解決するにはどうすればいいかについて考えていきたいと思います。

  

 

2023年3月31日

野中 博善